『内容証明郵便が届きました!』『本書簡到達後1週間以内にご対応…頂けない場合には法的手続き…』
最近話題の内容証明郵便とはどんなものでしょうか。あまり触れられていない知られざる一面もあわせてわかりやすく説明します。
内容証明郵便ってナニ?
内容証明郵便なんて聞くと近寄りたくない雰囲気がいっぱいですが、これって普通の文書を特別な形式で郵送しているだけ。
だから内容的には普通の文書と変わらないのです!
でも、わざわざ使うのは意味があるから?
そんな疑問があると思います。
それは『そんなの聞いてないよ!』と言わせないためです。
『この内容の文書』が『誰から誰に』『いつ』出されたか、それを郵便局が証明してくれるのです
形式が面倒くさい
ただ文書の形式にちょっとした決まりがあります!
1.1枚の紙に書ける字数と行数の制限
縦書なら『1行20字までで1枚26行まで』とか、横書きならこのほかに『1行13字までで1枚40行か、26字20行以内』とか。
1枚の紙に書ける制限なので、これを守っていれば何枚でもOKです。
2.同じ文書を3通(3部のこと)つくる
文書が3枚になったら3枚1セットを3セットということです。相手に送るもののほかに、郵便局と差出人本人の保管用。だから3通なのです。
3.文章の中に相手と自分の住所と氏名を書いておく
これがないと『誰から誰に』出したのかわかりません(もしないときは余白に書かされるようです)
4.相手と自分の住所と氏名を書いた封筒を用意する
文章の中に書いた住所氏名と同じでないといけません(ほかにも枚数が複数になったら検印といって「つづり目」にハンコを押すとか、訂正はこうするとかの決まりがありますが、細かいので省略します)
あとはこの文書と封筒を持って郵便局にいくだけ。ポストに入れてはダメです!郵便局でチェックを受けたり、ハンコをもらったりしますので。
特別料金
まずは内容証明の料金が必要。証明してもらう手数料です。文書の枚数が増えれば高くなります。
次は一般書留料金。内容証明は書留で出すルールなので、普通の郵便料金のほかにプラス必要です。
配達証明
内容証明は文書の内容を郵便局で証明してくれるのですが、そこまでであって、相手に着いた証明にはなりません。
そのため相手方から「そんな文書、見たことないし…」と言い訳をされると困ることになります。
WEBで追跡できるけど…?
そうなのですが、郵便はどこに行っているかを見れるだけで、配達されたことの証明証が発行されるわけではないのです。そこで配達証明というのがあります。
これをオプションで付ければ、相手に文書が送られたあとに『〇年〇月〇日に配達しましたので、これを証明します』というハガキが郵便局から来るのです。これで証明ができます(ただ実際の受取人が誰かの証明にはなりません)
なんでそこまでするの?
そこまでして相手に伝えることが、なぜ重要なのか?ここが一般の人には謎です。
実は法律や契約では、通知をしないと効果が発生しないものが多くあります。例えばアパートの賃貸借。
賃料を滞納していたら、大家さんは『溜まっている賃料を払ってね』と催告(簡単にいうと催促)をしてから契約の解除をするのが原則です。この催告は相手方に到達しないといけません。だから内容証明郵便を『配達証明』付きにして出すわけです。
それ以外で利用することも!
法律や契約で通知が義務でない場合でも、内容証明はかなり利用されています。その理由は…
相手がビックリしてくれるから
普通の人にとって内容証明郵便なんて縁がありません。そこに内容証明という朱肉色のゴム印が押された封筒がきます
『内容証明⁉』ここでまずドキドキ
中身を開けると
『当職は○○会社を代理人として…本書到達後〇日以内に回答ないときは法的手段をとらせて…』なんて書いてある。代理人となっているのは弁護士。
『べっ弁護士⁉どうしよう⁉』だれでも慌てるものです。
実はそこが狙い目。借金の返済を滞っていた人が『とにかく返そう』となることも。これは当たり前のことなので仕方がないのですが…
心当たりがないときは?
これは大問題です。
でも内容証明は郵便局で出した文書を証明するだけのもの。内容は普通の文書と同じなので、何も慌てることはありません。
まずは落ち着いて内容を読みましょう。どう対応するかをゆっくり考えましょう。必要なら専門家に相談しましょう。
そこがきちんと決まらないのに義務感だけで回答をすると、変なことになりかねません。内容証明という言葉の響きだけで、あたふたしないようにご注意を。
今回の雑学はこれで終わりです。
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