決算書を分析するコツ②|疑問を解決|ペアを考える(初心者むけ)

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貸借対照表と損益計算書が分析できれば…そんな悩みを解決します。

前回は多くの人がやっている比較。一番のコツは経営の実態を考える、でした。

今回は【ペアを考える】です。

出来事ひとつ・勘定科目はふたつ

毎日のように発生する売上や経費の支払い。それを仕訳という作業を通じて集計されたものが決算なのですが、この仕訳のイメージで数字を観察すれば分析がうまくなります。

実際の仕訳はいりません。あくまでもイメージでいいのです。そのために覚えることはふたつだけ。

①出来事ひとつにつきふたつの勘定科目ができる

②その勘定科目は貸借対照表か損益計算書のどこかにいる

実際にみてみると…

売上10万円 集金は来月31日の場合

売上高10万円⇒財産が増えるはず⇒でもまだお金をもらっていない⇒売掛金10万円

売上という出来事から、売上高(損益計算書)と売掛金(貸借対照表の資産)という科目ができます

仕入5万円 支払は来月20日の場合

仕入5万円⇒お金が減るはず⇒でも支払いは来月だ⇒買掛金5万円

仕入という出来事から、仕入高(損益計算書)と買掛金(貸借対照表の負債)という科目ができます

土地を現金100万円で買った場合

土地100万円⇒現金で支払った⇒現金100万円減

土地の購入という出来事から、土地(貸借対照表の資産)と現金100万円減(貸借対照表の資産)という科目ができます

このようにふたつの動きが貸借対照表か損益計算書のどこかに出てきます

こうして決算書に出てくる色んな動きが理解できるようになります。

ひとつがわかれば、あとは想像力

「勘定科目がわからない…」「ひとつは思いつくけど…」

そんなときは実際の出来事を何かの原因何かの結果と考えてみてください。

名称は正確にわからなくても『貸借対照表の負債の科目かな』というくらいは想定できるようになります。そして特別な動きにも気がつく。結局はそれが分析なのです。

ではその参考例をひとつ。

建物(貸借対照表の資産)が10億円増えているので、『その代金はどうしたんだろう』と考えたとき。建物を作ったというのは原因、『その代金は?』というのが結果です。そこで結果を探しにいきます。

現金で払ったとしたら、そこが減りそうだ(結果)

でも減っていない ⇒違うみたい

利益が10億円あったのかも…(結果)

それが正しいなら、現金が10億円増えて、建物の代金で払ったから現金が増減しないのも理解できる

でも当期利益は1億円。全然足りない…    ⇒これも違う

10億円を借りて払ったのかも…(結果)

これも借りて増えた現金で払ったから現金の増減はない

でも借入金10億円そのものがない ⇒これも違う

まだ支払っていない?

となると借金と同じだから、貸借対照表の負債のどこかにありそう。

未払金が10億円増えている(結果) ⇒おそらくこれだな…

というように、未払金という勘定科目を知らなくても負債の科目に注目し、未払金だろうという推測ができるようになります。しかも途中で色んな検討までしている。これが分析なのです。

ふたつの勘定科目を意識できれば

ここにあるのはA社の決算書。去年と今年のものです。

まず損益計算書をみてみると…

売上は10%伸びている。売上が増えれば売掛金も増えそう。

仕入も10%伸びている。売上の伸び率と比例しているから、おかしくはない。仕入が増えれば買掛金も増えるはずだ。

そう考えて貸借対照表の売掛金と買掛金を見ることにしました。

ても金額だけなのでピンとこない。そこで「比較のポイント」の記事にあった倍数を使ってみることに…

去年の売掛金は月商の1.5か月分。でも今年は2.2か月分に増えてる!

一方で買掛金はどっちの年も月平均仕入高の1.5か月分

その結果、『今年の売掛金だけが変だ!売掛金の中にもらえないものがあるのでは?』という分析ができるのです。

まとめ

決算書を分析するコツは

1.ひとつの出来事にふたつの勘定科目が動くことを意識する。

2.片方だけしか思いつかなくても、もう片方を想像して、どこらあたりにいるかを考える。

それを繰り返すことで、経営指標を知っている人と同じレベルの分析ができるようになります。

少しでもご参考になれば幸いです。

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